坂の上にある墓地より、別のお墓へ棹石のみを移設。下関市内にて

ホームページをご覧いただきまして、誠にありがとうございます。下関市から北九州を中心に、お墓専門にお仕事をさせていただいております、天の石材の天野です。下関市丸山町より、同市内墓地へ、お墓の棹石のみを移設する工事をさせていただきましたので、ご紹介いたします。

 

下関市丸山町より、同市内墓地への棹石のみの移設
石種:徳山石(64年前建立)

 

ホームページをご覧になったお客様からご相談をいただきました。お参りに行くのが大変になってきたことから、お墓の移設をお考えでした。

 

こちらが、下関市丸山町にあったご相談のお墓です。こちらの墓地は坂の上にあり、年々上がっていくのが大変になってきたのでお墓を移設することを考えるようになったそうです。ただ、単純にお墓をそのまま移設するのではなく、別のお墓に棹石部分だけを移設することが可能かどうかご相談をいただきました。

 

早速お墓を確認させていただきました。64年前に建てられた山口県産の徳山石のお墓で、額加工に浮き出しの家紋、当時としてはとても手の込んだ彫刻で立派なお墓です。お客様は、印のある棹石部分だけを別のお墓に移設することをご希望でした。

 

こちらが移設先となる同じ下関市内の墓地にあったお墓です。奥様方のお墓だったのですが継ぎ手がいらっしゃらないとのことで、お客様が管理をされていました。この墓地は車を横につけることもできて、ご苗字は違いますがたまたま家紋も同じものだったことから、それなら丸山町のお墓の棹石のみ取り外して入れ替えられないかと思い至ったそうです。

両方のお墓を拝見すると、丸山町のお墓は棹石のサイズが1尺(幅約30cm)、移設先のお墓は9寸(幅約27cm)と、持ってくる棹石の方がひとまわり大きいサイズだったので、棹石だけをそのまま入れ替えるのは難しい状況でしたが、9寸のお墓の棹石の下の角じみ、座布団を取り外して、上台の上に直接設置するなら可能でしたので、お客様にお伝えするとご納得いただけました。工事内容のご説明とお見積りを差し上げて、工事をお任せいただきました。

 

移設先のお墓は、ブロックの土台の上に設置されていましたが、端にはこのように隙間ができて、そこから雑草や木が生えてきていました。汚れも溜まって黒ずんでいたのでクリーニングをして、こうした箇所は補修をすることになりました。

 

クリーニング中の様子です。左半分は、ちょうどクリーニングが終わったところです。比較すると、かなり汚れが取れていることが分かりますね^^ 古いコンクリートは劣化しているため、あまり強く水圧をかけると削れてしまうなど損傷してしまうこともありますので、水圧には十分注意して行います。お墓の本体も同様にクリーニングをします。

 

クリーニングが終わってきれいになったお墓に、こちらもきれいにして墨入れをした棹石を据えて、工事完了です!

 

工場へ持ち帰って洗浄し、色を入れ直しました。サイズもバランスよく、棹石・上台ともに徳山石なので違和感なく仕上がりました。また、お写真にはありませんが、上台の裏側には奥様方のお家のお名前も彫刻して残しました。このたびの移設で奥様方のお家のお墓はなくなってしまったものの、お墓の歴史・お家の歴史として残すことができました。

 

土間部分はクリーニングと補修も完了しました。生えていた木や雑草をきれいに取り除いてからクリーニングをして、隙間はセメントで埋めて仕上げました。

 

移設元の丸山町のお墓は、棹石を取り外したあと解体工事を終えました。墓地が坂の上にあって、お墓までの道も狭い階段を上るような場所でしたので、石やコンクリートは持ち運べるくらいの大きさまで小割にして、人力で搬出する作業でした。取り外してくぼんだ部分にはコンクリートを充填して、ご指定の状態で作業完了となりました。

 

ステンレスの花筒を入れて、お水の入れ替えも楽になりました。お客様には、思っていた以上に違和感なく仕上がって、きれいになったお墓を大変喜んでいただけました。このたびは、数ある石材店の中から当社にお声かけいただきまして、ありがとうございました。

下関は土地柄、山や坂の上のお墓が多く、お参りに行くのが大変なのでよりお参りしやすい平地の墓地にお墓を移設するケースは多いですが、今回はお墓の棹石だけを移設するという、これまで経験したことのないお仕事でした。奥様方のお墓を継いでいくために、彫刻のお名前を彫り直したり、棹石を新しいものに作り替えたりする方法は時々ありますが、これからはそれに加え新たな方法として、「棹石のみの移設」も可能であればお客様にご案内することができます。ご希望であれば今回のように奥様方のお名前をお墓の一部に残すこともできますし、両家のお墓が一つになって今後も活かされるという、とても良い方法だと思います。まずはお墓を拝見して、移設が可能かどうか判断することになりますので、ご興味のある方はお気軽にご相談くださいませ。